短編小説/ショートショート

問題。その2

さて、問題です。
それはとても穏やかな生き物です。
それはとても厳しい生き物です。
それはとても優しい生き物です。
それはとても大きな生き物です。
それはとても小さな生き物です。
それは色々なものを生み出す事が出来ます。
それは色々なものを受け止める事が出来ます。
それは例え貴方に刺されても微笑んでいるでしよう。
それは例え貴方に親切にされても知らないふりをしているでしょう。
それとは一体何でしょう?
ヒント:
最近怒りっぽいです。
最近汗ばかり流しています。
最近少しボケてきているようです。

2007-02-02

お喋りユビキタス

「やぁこんにちわ。はじめまして」
『はじめまして~』
〔おはつです〕
「皆さんよくいらっしゃるんですか」
『いるいる。暇な時間はたいていいるよ』
〔自分は今日で3回目くらいです〕
『タメ語でいいよ~>all』
「あは、ついつい(汗」
〔ごめんなさい(>_<)〕 『**は普段敬語なの?』「ですよ~。××さんもそんな感じですね?」 〔呼びタメでいいですよ>**<同じ感じですね苦笑〕 『えー二人とも大変そぉ。○○は堪えらんないなぁ。強要されてんの?』 〔僕は好きで使うよ〕 「…自分は強要されてる…」 『え、なにイジメ?!』 「…近いかなぁ」 〔いや、それは絶対イジメだよ!〕 『イジメとかマジひどい。ここでは全然タメでOKだかんね!』 「ありがとう(^^)」 〔イジメひどいな。何、クラスメイトとか?〕 「そう。クラス仕切ってる奴」 『うっわぁ、大変じゃん!○○は**の味方だからね!』 〔僕も味方だよ(^-^)〕 「ありがとう、心強いよ」 小さな窓の中は、いつでも暖かい。 熱すぎず、寒すぎず、ちょうど良い。 僕の親指はいつでもお喋り。 小さな世界にくらい、居場所があったっていいでしょう?

2007-02-01

問題。

さて、問題です。
貴方のあちこちに張り付いている物があります。
それは何でしょうか?
貴方が周りの人に貼付けている物があります。
それは何でしょうか?
周りの人が貴方に貼付けている物があります。
それは何でしょうか?
貴方が知らない誰かに貼付けている物があります。
それは何でしょうか?
周りの人が知らない誰かに貼付けている物があります。
それは何でしょうか?
ヒント:
それは周りの人次第で剥がすことが出来ます。
それは貴方の努力次第で剥がすことが出来ます。
それは貴方と周りの人次第で変わります。
それはささやかなきっかけで生まれます。
そしてささやかなきっかけで剥がれます。
この問題、貴方はわかりますか?

2007-01-31

宛先

面倒臭がりな私は、自分のメールアドレスを電話帳に登録している。
友達に教えたりする時、管理者情報とか、携帯をいちいち弄るのが面倒だから。
登録者名は「じぶん」にしてある。
ある日、「じぶん」からメールが来た。
内容は
「死にそう」
と一言だけ。
気味が悪くてすぐ消した。
数日後、酷い風邪をひいて寝込んだ。
友達から
「大丈夫?」
とメールが来た。
私は熱で朦朧としながら返信した。
すると数時間後にその友人が「返信が来ないから心配で来ちゃったよ」と見舞いに来た。
誰かに間違えて返信したのかな、と携帯の送信履歴を見たら「じぶん」宛てに返信していた。
内容は
「死にそう」
と一言だけ。

2007-01-29

墓石

自分で自分の墓を建てる行為は早死の原因だ、と有名な占い師がいっていた。
なるほど、と思った。
墓は死体が埋まってこそ完成だ。
だからだろう。
都会の喧騒に救急車のサイレンは欠かせない。

2007-01-28

ポスター

駅の改札の側の壁に、ポスターが貼ってある。
ダイエット食品のポスターだ。
ポスターの隅が少しだけ破れていて、悪戯心でめくってやった。
向こう側に、不健康そうな顔で笑う女の子がいた。
申し訳ない気持ちで、めくったところを元に戻した。

2007-01-27

明滅する世界

部屋の蛍光灯がチカチカと点滅し始めていた。
少し前からやばそうだな、と思っていたが、この繰り返される明滅はだいぶ気になる。
昔、部屋の蛍光灯が切れかけて点滅を始めたら、家の外も点滅をしている、そんな話を読んだことを思い出した。
新しい蛍光灯を買いに行こうと外に出た。
外でも部屋と同じ明滅が繰り返されていた。
これはマズイ。あの話と一緒ではないか。
慌てて買いに行き、慌てて付け替えた。
部屋の明滅が止み、世界の明滅も止む。
ほっと安堵の息をつく。
そういえばあの話はどんなオチであったか。
そんな話を、インターネットの片隅で見つけた。
あぁそういえば、と天井を見上げると、

2007-01-26

賢者

人間とはなんとも賢い生き物だ、とふと思うときがある。
例えば、へとへとになって遅い時間に仕事から帰って来た時に、テーブルの上にぽつんとカップ麺が置いてあり、家の中に人の気配が微塵も感じられない、こんな状況の時などだ。
お湯を入れて3分も待てば飢えをしのげる。
素晴らしい。
そして、飢えを凌ぎながら、専業主婦の妻がこんな時間に家にいないという事実と、最近の風当たりの悪さから、不倫相手の所だろうと簡単に推測出来てしまうということに、賢さと引き換えに心が狭義になっている事実をただただ実感するばかりである。

2007-01-25

地球儀

月に一度、僕の地元では骨董市をやっている。
駅の近くにイベント広場って場所があって、そこに市が立つ。
古着物に古い置物、掛け軸に食器。確かに骨董品だと思う古い物からそうでないものまで、若干フリーマーケットも混ざったような、そんな市だ。
僕はその市によく足を運んだ。何か面白い物に出会えそうな気がして。
古びた空気が広がった世界の一角で、僕は足をとめる。硝子細工の置物が目についた。
干支の動物を象ったものから、一角獣に麒麟など、透明な動物たちが紫色の布の上で遊んでいた。
それらの中心で、地球儀が静かにたっていた。透明な球体に、不透明の精巧な世界地図がのっている。
値段も手頃だったので、僕の家のインテリアの一つとして迎えた。
透明な地球儀は、陽のよく当たる出窓に、花の活けられる花瓶と並んだ。
太陽の光が地球儀を通り抜けて床に落ちている様はとても綺麗だった。
次の日、地球儀の足元に水が零れていた。
ごくごく僅かだったが、確かに落ちていた。
隣の花瓶の花を活け変える時にでも跳ねたのだろうか。いやしかし、それなら地球儀そのものも濡れているはずだが、そんな様子はない。
だが、と、あまり気にせずに水を拭き取った。
しかし、水は毎日のように地球儀の足元を濡らしていた。
地球儀自体に水がかかる様子はないが、と地球儀をよくよくみていた。そして、おや、と違和感を覚え、世界地図を広げた。
精巧に精密に描かれていたはずの硝子の球体の上の世界地図は、持っていた紙の上の世界地図と少し変わっていた。
北のてっぺんと南のてっぺんの形が僅かに変わり、太平洋や大西洋の島々の数が僅かだが減っていた。
これはいけない。
僕は慌てて地球儀を陽の当たりにくい僕の机に移動した。
これできっと大丈夫。
しかし、次の日、地球儀の足元には水が落ちていた。
何か良い方法はないものだろうか。
僕は毎日首をひねりながら、地球儀の足元を拭いている。

2007-01-24

スキマの

時間って奴は、消費すればいいだけのものだ。
そのうち無くなって、自分がこの世から消えれば、それでいい。
スナック菓子の袋を新たに開けながら、欠伸をした。
もう何時だ。
パソコンの画面には大量の文字。
くだらないモノから役立ちそうなモノまで情報が散乱している。
適当に摘み上げて、時間を消費するための道具として再利用する。
この画面の世界は、まるで自分の部屋と同じだ。
居心地がいい。
スナック菓子を食べながら、文字を摘み上げていた。
その時だった。
「おい」
何処からともなく声がした。
部屋を見渡す。
当たり前に人間はいない。
この部屋に自分以外の人間が入らなくなって、どのぐらい経つか。
この部屋に自分以外の声が響くのは久々だった。
まぁしかし、気のせいにしてまたパソコン画面を見つめた。
「おい、お前」
また聞こえた。
今度ははっきりと、すぐ近くで。
「おい」
また。まただ。
周りを見渡す。
自分の横、右側、目線より少し下辺りから聞こえた気がした。
右側は棚だ。漫画とか雑誌とかスナック菓子の袋とか、積んである。
嫌な汗が滲んできた。
とりあえず、少し目線を下げてみた。
…みなきゃよかった。
壁と棚の微妙なスキマ。
そこに目があった。
ぎょろっとした、目が二つ並んでいた。
かたまっていたら、目が合った。
「おい、お前」
ギロリとした目がそう喋った。
正確には、その方向から声が聞こえた。
だってそいつには口がない。
しかし聞こえたのだ。
「おい、お前」
「な、なんだよ」
思わず聞き返した。
やばい、動揺してる。
「片付けろ」
「…は?」
「部屋が汚すぎるんだよ」
「は…はぁ」
「分かってるなら片付けろ」
目は怒ったように細められている。口調にも怒りが混じっていた。
何がなんだか分からないまま、そいつの言う通りに片付けを始めた。
もうどのぐらいからやっていなかっただろう。ゴミと雑誌と洋服とCDとDVDとゲームと…。何がなんだか分からない物がごちゃごちゃ散乱している。
よく分からない恐怖にかられながら、必死で片付けた。無我夢中。
途方もない時間を使ったが、部屋はそこそこ片付いた。すると
「やれば出来るじゃないか」
なんだか嬉しそうな声色だった。
なんだかしらないが、照れてしまった。
ふと気付くと、そいつはいつの間にかいなくなっていた。
これからは小まめに掃除しよう。
やれば出来るんだし。
自分の中の時間消費の方法が一つ増えた。

2007-01-21

黒い羊小屋

二次創作では「くろひつじ」名義で活動しています。

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