ショートショート短編小説

ぼくは ながいながい いっぽんみちをひたすらはしっていた
なにかにおいかけられるように
なにかにあせらされるように
あるひ とつぜんめのまえに おおきなかべがあらわれた
じゃまなのでおしてみたが びくともしない
こわしてやろうと たいあたりしたが うごかない
けりとばしてみたが あしがいたくなるだけだった
こまった
はしらなきゃ すすまなきゃ
いっしょうけんめいうごかそうとしたがむりだった
しかたがないのでぼくはごはんをたべた
しかたがないのでよこになった
しかたがないのでねむった
ぐっすりねむってめざめると めのまえのかべがたっていた
てあしをにょきっとはやして つるつるのそくめんにめだまをひらいていた
かべはぼくをみおろしていた
ぼくはいった
「なんでぼくのじゃまをするんだ」
かべはなにもいわなかった なぜならかべにはくちがないから
「じゃましやがって」
かべをなんどもけりつけた
かべがのそりのそりとみちをあけたので ぼくはまたはしりだした
ごはんをたべたから たくさんはしれた
よくねむったから あしがかるかった
ぼくはまたすすんでいく
こんどまたかべにであったら あやまろうとおもった
入院中のベットの上で、僕はそんな本を読んでいた。
妹が見舞いに来たときに持ってきた本だ。
仕事に行く途中、階段から落ちて足の骨を折った。
普段の忙しさにかまけて、食事や睡眠を疎かにした罰に違いない。
仕方がないので、僕は本を抱きしめて眠ることにした。

2007-02-06

黒い羊小屋

二次創作では「くろひつじ」名義で活動しています。

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