死神事情

ショートショート短編小説

人間の目には見えていないだろうが、死神というやつは実はあちこちにいる。
例えば、今貴方が立っているその電車の車両の天井に、死神は鎌を抱えて張り付いている。
知っているだろうか、死神たる奴らには実は色が与えられていることを。
よくホラー映画なんかに登場する死神は黒いマントを纏っているが、あれは死神の一種類でしかない。
黒いマントの死神は汚い魂を刈る奴。
何故黒いかって?
そりゃあ刈り取る魂が汚いからさ。黒い色は汚れが目立たないからね。
他にも動物の魂を刈る緑マントや、物の魂を刈る紫マントなんてのもいる。
そして、俺のように綺麗な魂を刈り取る死神のマントは白い。
しかしながら、黒いマントの死神=死神 とイメージが固まっているように、白いマントの死神は少ない上に、暇だ。
この世の中ってやつは汚い魂ばかりが蔓延っていて、黒いマントの奴らは大忙し。白いマントの奴らも人手が足りない時は黒いマントを借りて仕事をする。
まったくこの世って奴は、こまった世界だ。
ついこの間、あんまり暇だから、長期休暇でも取ってバカンスに行こうとしてたら、仕事が入った。
どんな奴かと思ったら、自分の信念を貫いて、他人を助けて死んじまった人間だった。
意外とこの世って奴も捨てたもんじゃないなぁと思って、バカンスは取りやめた。
またいつ仕事が入るか判らない。
でも、出来れば俺は、そんないい奴らがこの世にいるのなら、あんまり仕事したくないけどね。

2007-02-14

黒い羊小屋

二次創作では「くろひつじ」名義で活動しています。

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