美術館

ショートショート短編小説

普通、美術館と言うと、そこそこに名の知れた画家の作品や、何かしらのコンクール受賞作を展示しているものだ。
しかし、私の勤めている美術館は、少し変わっている。
まず、作者の名前がなく、誰が作成したのかは分からない。
そして、展示されている物の形態がおかしい。
ついでに言うと、此処の作品はいつの間にか増えたり減ったりしていて、いったいいつ搬入されたのかも分からないのだ。
あ、私の仕事は単なる入り口の受付だから、知らなくてもしょうがないかな、と思っているんだけど、私以外の職員は館長ぐらいで、搬入とか展示をしてる様子を見た事ない。
ある日館長に「新作が増えているから、たまには見ておいで」と言われて、館内を見て回る事にした。
それにしても、芸術とはよく分からないなぁと思うものばかりが展示されている。
一番怖かったのは、沢山の屍体の山の上に、花が一輪咲いている様子を形にした物。
大きな四角いガラスケースの中に、今にも腐臭が漂ってきそうなリアルな人形が幾重にも重なっていて、その一番てっぺんにぽつんと綺麗な花。
屍体の人形が多すぎて、てっぺんがよく見えなかったので、何の花なのかは分からなかった。
作品タイトルは「平和」だって。
他にも、男女がお互いの首に首輪を付け、お互いの首輪から伸びた鎖を持ち、反対の手にナイフを持った彫像とか、携帯電話を人間サイズに大きくした物が歩いてる街の模型とか、もっと色々よく分からないものがいっぱいあった。
それにしても、いったいこれらはいつこの美術館に運ばれてくるのか。
まぁ、考えてもしょうがないので、私はぐるっと館内を一周してから、仕事に戻った。

2007-02-19

黒い羊小屋

二次創作では「くろひつじ」名義で活動しています。

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