20枚め
「辛」い時こそ楽しみを見つける。
そうすれば、「幸」せから逃げた一本線が戻ってくるよ。
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例えば、今此処で意識を失ったら。
例えば、今から誰知らぬ世界へ逝ってしまえたら。
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土壁をそぞろ這う百足ですら番で生きると申すのに、番う相手なぞ見つけられず、魂は相も変わらず濁り汚れて満足している。
多分自分は番を殺された百足なのだ。
呪う相手を知らず、何処かへ消えた影を探して。
こんな時に人形が欲しいと想ふ。
自分の浅ましい欲求を満たせるのは、同じような屍体だけ。
けれど、そんな者はいないし、いたとしても、そんな者は自分だけでいい。
殺された番、屍体で構わぬよ、還っておいで。
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欲求に溺れると、生きるのは辛い。
欲求を知らないと、生きる価値が分からない。
欲求は、生きるを識る為にあるのでせうか。