39枚め
それは何処かから聞こえて来た歌声。
遠いようで近い声。
囁くように泣いている声。
ただ、私は待っていたの。
凍てつく世界の真ん中で。
私そのものが凍るまで。
歌うのは花。
雪の花。
解けない氷の世界で佇んでいた。
誰か見つけて。
世界が終わる前に。
世界が消える前に。
凍る花が歌うのは、求める歌。
何も求めない僕はどうして見つけたのか。
求めないはずはない。
真っ直ぐ一人で生きられる者などいないわ。
歌うのは雪の花。
僕の足元で歌う花。
◆
風が、呼んでる。
背中を押すように。
進め進めと叫んでる。
帆を広げ高くあげろと怒鳴ってる。
風が呼ぶなら応えなきゃ。
◆
遠くが見えたか?
道が見えたか?
それなら、踏み出すのは、今。