小噺2:ボウシ

ミヤ氏の小噺短編小説

実は私、結構なボウシ好きでして。
出掛ける時はよくかぶります。
夏にはメッシュで通気性のいいボウシ。
冬には厚手生地の暖かいボウシ。
まぁしょっちゅうかぶっておりますもので、友人達に何を考えてるか分からないと言われます。
それはそうでしょう。
ボウシは元より思考を外に漏らさないようにするためのものですからねぇ。
あ、ご存知でない?
ならば、そのお話を。
人間て生き物は実はかなり進化しやすい生き物でしてね。
昔は頭から思考がだだ漏れしてるような生き物だったんですよ。
あのコ可愛いなーとか、
アイツ嫌いだーなんてね。
そんな本性剥き出しじゃ社会が成り立たない。
それでボウシをかぶるようになったらしいんです。
思考が零れ落ちないように防ぐ役割を果たしてくれるそうで。
人間も考えたもんだ。
みんながみんなボウシかぶるようになったもんで、人間の身体が思考をだだ漏れさせない方に進化したのはつい最近のこと。
微量ながらたまに漏れるようですがね。
特に顔辺りから。
まぁそんなわけで、お役御免になったボウシはファッションの一部として生きながらえる事になり、私の頭を飾っていたりするんです。
そうそう、ちなみにボウシは「妄止」と書いたそうです。
溢れ暴れ出す思考が跳び出すのを止めるモノ。
良い話のネタが出来た時なんかは、ボウシをかぶったりするといいかもしれません。
ネタが逃げ出せないですからね。
試してみてください。

2006-12-04

黒い羊小屋

二次創作では「くろひつじ」名義で活動しています。

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