ショートショート短編小説

私は殺したい程あの子が嫌いだった。
殺せるものなら殺したいと思っていて、ある日、偶然夜道であの子と出会った。
向こうは気付いていなくて、私は偶然包丁を持っていた。
絶好の機会だったが、はたと思い直した。
あの子には、あの子を大好きな人がいて、あの子を殺したら復讐されるんだろうな。
そうして私が殺されたら、私を好きなあの人が、あの子を好きなあの人に、復讐をするんだろう。
あの子を好きなあの人を愛してる人が、私を好きなあの人にきっと復讐するだろう。
ああ、いつまでも憎しみの連鎖は止まらない。
それなら、ここで止めておこう。
私は包丁をしまい、踵を返す。
すると、背中に熱い衝撃が走って、思わず振り返った。
あの子が、包丁を持って笑っていた。
せっかく、憎しみの連鎖を止めたのに。
私を好きなあの人が、あの子に復讐をするんだろう。
そうしてあの子を好きなあの人が、私を好きなあの人に復讐をするんだろう。
止まらない。
いつまで経っても止まらない。
それがなんだか悲しくて、涙が零れた。

2007-03-22

黒い羊小屋

二次創作では「くろひつじ」名義で活動しています。

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