白い風が吹き消したのは

ショートショート短編小説

ガチガチと音が聞こえる。
自分の歯が鳴らす音だと気付くのに時間がかかった。
雪崩に巻き込まれてどのくらい経ったのか。
毎年行っているスキー場だし、甘く見ていた。
まさか雪崩に遭うなんて。
雪崩に巻き込まれた人間は天地が分からなくなり、パニックになって雪の中で動き回り、閉じ込められて死ぬらしい。
俺はその辺の知識はしっかり持っている。
だから大丈夫。
高を括っていたんだ。
それは単なる驕りだと、白い世界で思い知る。
よだれの落ちた方向で、天地を知ることは出来たが、残念ながら、頭は地を向いていた。
大分下の方へ押し込められたらしく、雪は固くて身動きすらまともに取れない。
こんな状況で、なんでまだ冷静な思考を持っている。
まぁ当たり前だよな。
あぁ、死ぬ瞬間はこんなにも穏やかなんだな。
誰だ、死神は黒い衣装を身に纏っているなんて言ったのは。
俺を迎えにきた死神は、真っ白な衣装を着ているぞ?
静かな世界だ。
この静けさは、俺を冷たくしていく。
白い世界に、溶け込んでいく。

2007-01-19

黒い羊小屋

二次創作では「くろひつじ」名義で活動しています。

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